おはよう、京都。今日も太陽が昇り、清々しい朝がやってきました。より充実した京都の1日を過ごすポイントは、朝から旅をはじめること。暑い夏の日も、まだ涼やかで快適。一度は訪ねてみたい人気スポットも、朝はゆったりとした時間が流れています。今回は、京都の歴史や文化、モーニングを満喫できる“癒しの朝時間”をご紹介。いつもより早起きして、さわやかな京都をめぐりましょう。
こんなに楽しい、京都の朝
のんびり気ままに、朝さんぽ
人気スポットをマイペースにめぐる 【嵯峨野・嵐山エリア】
古くは平安貴族の別荘地として愛された、嵯峨野・嵐山。四季折々に美しい風光明媚なエリアには、歴史ある社寺やカフェなど、人気スポットが点在しています。混雑が気になる京都屈指の観光地だからこそ、朝にめぐるのがおすすめ。ゆっくり自分のペースで、この地本来の美しさを体感してみませんか。定番のあの風景も、自分好みに撮影ができるはず。
渡月橋
嵐山を背にした渡月橋は、京都を代表する風景のひとつ。千年以上の歴史を持ち、現在の橋は昭和9年(1934)に完成したものです。京都盆地の西側に位置し、朝を迎えると、太陽がさしこみ山の木々が目覚めていくよう。まだ橋の上を行き交う人や車も少なく、絵になる風景を存分に撮影できます。
嵐山公園 亀山地区
亀山地区・中之島地区・臨川寺地区からなる嵐山公園。なかでもあまり知られていないのが、亀山地区(通称:亀山公園)。渡月橋界隈からは少し離れますが、ゆるやかな坂道を上りきると、ご褒美のような“絶景ポイント”がお待ちかね。頂上の展望台から保津峡を一望でき、朝から爽快な気分にしてくれます。
竹林の小径
嵐山といえば、竹林の小径も見逃せません。小径を歩けば、まっすぐ伸びる青竹が頭上を覆い、まるで涼やかな“みどりのトンネル”の中にいるようです。耳をすませば、心地よい竹の葉擦れの音。こんな贅沢なひとときを過ごせるのも朝ならでは。8時頃には賑わってくるので、それまでに訪れるのがおすすめです。
野宮神社
竹林の小径にたたずむ『源氏物語』ゆかりの神社。周りの木々と調和するように立つ「黒木鳥居」は、原木のまま使用した日本最古の鳥居の様式と伝わります。縁結び・安産のご利益で知られ、本殿横には願いが叶うという神石「お亀石」が。朝なら、周囲を気にすることなくゆっくり撫でられるのが嬉しい。
パンとエスプレッソと嵐山庭園
モーニングは、嵐山では珍しく8時にオープンするベーカリーカフェへ。京都府指定有形文化財「旧小林家住宅」をリノベーションした風情ある佇まいと、別棟で焼きあがるパンを楽しめるのが魅力のお店です。フレンチトーストセットなど豊富なメニュー展開で、気分にあわせたモーニングを味わってみて。
天龍寺
雄大な「曹源池庭園」は、朝にこそ楽しみたいお庭。まさに目が覚めるように美しく、その魅力を体感していただきたいと、紅葉ピーク時は庭園のみ7時30分開門。四季折々の花々も見どころで、夏は蓮や百日紅、芙蓉などが鮮やかに咲き誇ります。第2日曜日開催の坐禅会(※)を体験すれば、より特別な朝になりそう。
※2・7・8月は休会
嵯峨野・嵐山エリアマップ
季節のうつろいを感じる 【南禅寺・哲学の道エリア】
朝から気軽にアクセスしやすい南禅寺・哲学の道エリア。最寄りとなる「蹴上駅」は、宿泊施設の多い四条・烏丸御池界隈から地下鉄で10分程。街中から少し離れただけなのに、このあたりは自然豊かです。疏水沿いを歩き山裾にたたずむ社寺へ立ち寄ると、野鳥の声も聞こえてきます。哲学者・西田幾多郎は、毎朝この道を歩き思想にふけったそう。季節のうつろいを感じながら、あなたも歩いてみては。
蹴上インクライン
坂道に沿ってまっすぐレールが延びる“みどりの小径”、ここは明治から昭和にかけて使用された傾斜鉄道跡。琵琶湖疏水を運航していた船を運ぶために敷かれたもので、国の史跡になっています。桜のフォトスポットで人気ですが、夏の朝は訪れる人も少なく京都近代化の歴史をゆっくり感じられるはず。
南禅寺
観光スポットとして人気の禅寺も、朝はお寺本来の静かなたたずまい。境内は24時間開放されていて、堂々たる伽藍やレトロな水路閣を眺めながら、散歩をたっぷり楽しめます。三門まわりは青もみじや苔のみどりが広がり、清々しい心地に。第2・4日曜日には坐禅会(※)が行われるので、散歩前にぜひ体験を。
※8月、12月第4・1月第2日曜日は休会
哲学の道
「日本の道100選」のひとつで、京都観光のなかでも定番の散歩道。哲学者・西田幾多郎は、毎朝この道を歩きながら思想にふけったといいます。約2キロにわたる疏水沿いに石畳の小径が続き、桜やモミジ、紫陽花など、四季折々の自然を感じられるのが魅力。朝の木漏れ日を浴びながら、のんびり歩いてみましょう。
大豊神社
南禅寺から法然院一帯の氏神様として親しまれ、近所の方も朝からお参りに訪れる大豊神社。まずは手水舎の椿ヶ峰から流れ出る御神水で、身を清めましょう。境内には狛キツネ・ヘビ・サル・トビが鎮座し、なかでも人気を集めるのが狛ネズミ。椿の名所で知られ、見頃の時季には“椿でおめかし”する狛ネズミに出合うことも。
法然院
山裾にたたずむ法然院の開門は6時。風情ある茅葺き屋根の山門をくぐると、「白砂壇(びゃくさだん)」が迎えてくれます。砂紋は、お坊様が数日おきに引かれているもの。季節で異なり、訪れる楽しみにもなります。境内は、新緑と苔が織りなすみどりの世界。鳥の声も響き渡り、心身が浄化されていくようです。
酒菓喫茶かしはて
朝散歩の締めくくりに、10時からはじまる「朝菓子の会」(要予約)を訪ねてみませんか。季節のフルーツが主役の4品のデザートコースは、朝から食べやすいよう甘さは控えめ。フィナーレを飾る、遊び心ある“食べられる枯山水”には、思わず歓声があがります。素敵なうつわやインテリアにも注目しながら、朝時間を満喫してみて。
南禅寺・哲学の道エリアマップ
旅の最後まで京都を満喫! 【京都駅周辺エリア】
京都旅行最終日。どこへ行こうか悩むところですが、新幹線乗車の直前まで満喫するなら京都駅周辺がおすすめです。見落としがちなエリアは、じつは、魅力あふれるスポットが勢揃い。“これぞ京都”な寺院や庭園を歩くもよし、売り切れ必至の名物和菓子を手に入れるもよし。ちょっと散歩して、朝からお酒を呑む! なんて贅沢も旅の醍醐味です。
東寺[教王護国寺]
東寺の朝は早く、開門は5時。静寂に包まれる境内をのんびり歩いてみましょう。夏の朝は鮮やかな蓮が見どころで、五重塔(国宝)を背景に花開く光景は幻想的です。日にち限定の僧侶によるご案内付き「早朝特別拝観」(要予約)も開催中。五重塔初層や小子房など非公開エリアも楽しめ、より思い出深い京都旅になりそうです。
東本願寺
真宗大谷派の本山。京都駅から徒歩5分程、街中にとけこむ大寺院は5時50分に開かれます(※)。巨大なお堂と門が建ち、間近にするだけで感動もの。特に御影堂は木造建築として世界最大級の大きさを誇り、927畳という空間に驚かずにはいられません。朝のお勤めは7時から。法話も拝聴でき、暮らしのヒントをいただけるかも。
※11月~2月は6時20分開門
渉成園[枳殻邸]
素敵なお庭が多い京都。渉成園は東本願寺の飛地境内地として、江戸時代に作られた池泉回遊式庭園です。国の名勝にもなり、今では街中のオアシス的存在に。個性あふれる建物と自然の共演が美しく、広大な印月池の奥には、青もみじに包まれる小さなせせらぎがあります。心地よい音に耳を傾ければ、涼が感じられます。
文子天満宮
住宅街にたたずむ文子天満宮。じつは千年以上の歴史を持ち、北野天満宮の前身とも伝わります。散歩途中で、由緒ある神社に出合うのも京都ならでは。ご利益は学業成就や縁結びなどで、神職さんお手製の着物をモチーフにした「文子守り」や、「縁結びね貝守り」などかわいい授与品が豊富。お参りの際は、ぜひ拝受してみて。
九時五時
コンセプトは“ビールとワインとちょっとアテ”。その名の通り、9時から美味しいお酒とアテが楽しめる、頼もしいお店です。お魚系からお肉系までお酒がすすむメニューが並び、こだわりの自家製ハムはチェックしたいところ。店内はカウンター席がメインで、ひとり旅の方も立ち寄りやすいのが嬉しいですね。
今西軒
甘いもの好きなら、“おはぎ専門店”の今西軒へ。おはぎは、つぶあん・こしあん・きなこの3種。北海道産のあずきを使い、昔ながらのおくどさんで丁寧に時間をかけて手作りされています。9時半開店時には行列ができ、1時間前後で完売することが多いそう。朝イチで名物おはぎを購入して、新幹線のお供にどうぞ。
京都駅周辺エリアマップ
そう京スタッフのおすすめモーニング
そう京スタッフがおすすめするモーニングのお店を、様々なジャンル・エリアからご紹介します。
salon de 1904/下鴨神社・京都御苑エリア
2023年、明治築の京都府庁旧本館(重文)にオープン。アンティークで統一された店内はクラシカルな雰囲気。トーストなど、4種のモーニングから選べます。
旧三井家下鴨別邸/下鴨神社・京都御苑エリア
主屋2階座敷では、「泉仙」の精進料理が味わえる日にち限定の“朝食プラン”を開催中(要予約)。食後は、非公開の主屋3階望楼や庭園散策を楽しみましょう。
ろじうさぎ/祇園・東山エリア
京都五花街のひとつ、宮川町にたたずむ町家カフェ。焼きたてのお魚とだし巻き玉子、季節の野菜を使った色鮮やかなおばんざいが楽しめる、身体にやさしい朝食をいただけます。