現在展開中の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンCMはご覧いただきましたか? インパクト抜群の「空也上人立像」に度肝を抜かれた方、また「教科書で見た!」という方もいらっしゃることでしょう。
ところで、空也上人立像が祀られているお寺のことをご存知でしょうか。「今年から開始!」や「12年ぶりの公開!」など、見逃せない情報等を交えながら六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)についてご紹介しましょう!
\空也上人立像を祀る“もうひとつ”のお寺/
⇒「初夏の花咲く「月輪寺」 -空也上人ゆかりの地へ-」(2022年4月公開)「あなたは、どの仏像から入りますか?」
あの世とこの世の境に立つお寺?
六波羅蜜寺が立つのは、昨年(2022年)夏の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン舞台となった建仁寺から南へ徒歩5分ほどの場所。平安時代以降、六波羅蜜寺の東方には鳥辺野(とりべの)と呼ばれる葬送地が広がっていたそうで、お寺の近くには、「冥界への入口」とされる「六道之辻」の碑がひっそりと佇んでいます。
また、“幽霊子育て飴”で知られる「みなとや」や、小野篁の冥途通いの伝承が残る六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)が立つなど、この界隈は京都でも有数のミステリースポットとしても知られるエリア。諸説ありますが、「六波羅(ろくはら)」は「髑髏ヶ原(どくろがはら)」が転じたという逸話があるなど、「あの世」の近くであることを覗わせる逸話が今に伝わります。
鎌倉幕府ゆかりの六波羅
「六波羅探題(らくはらたんだい)」という言葉を聞いたことはありませんでしょうか? 承久の乱(1221)の後に、鎌倉幕府により設置された朝廷の監視や京都周辺の治安維持にあたったという、京都の出先機関です。その跡地を示す碑が、六波羅蜜寺の境内に立ちます。この碑をよく見ると、「平氏六波羅第(だい)」とも刻まれていますが・・・
六波羅は平家にも縁深い地
こちらは本堂の南側にある「平清盛公の塚」。清盛の供養塔とされるものですが、六波羅の地には平家の邸宅群が建ち並んでいたそう。清盛が住した六波羅殿をはじめ、往時には一族郎党5,000を超える邸宅があったといいます。栄華を極めた平氏政権が“六波羅政権”とも呼ばれたように、かつてこの地は日本の中心であったと言っても過言ではないかもしれません。
あのお寺に似ている独特な構造の本堂
非常に広大な敷地を誇ったという六波羅蜜寺ですが、火災などにより堂宇を消失。寺域も大幅に縮小していきますが、室町時代に建てられた本堂は、災禍を免れ、創建当時のものが今に伝わります。本堂に入ると、ご本尊様が祀られる内陣の床が低い位置に。どこかで見たような・・・ 同じような構造をしたお寺に天台宗の総本山である比叡山 延暦寺の総本堂 根本中堂があります。
六波羅蜜寺は、天暦5年(951)、空也上人によって建てられた西光寺に由来するそうですが、貞元2年(977)に延暦寺の僧・中信が中興した際に、六波羅蜜寺と改称。以降、天台宗に属する天台別院となりましたが、改宗され、現在では真言宗智山派の寺院となっています。
ご本尊様には来年お目にかかれます!
六波羅蜜寺のご本尊様は、本堂中央の厨子に収められる「十一面観音立像」(国宝)。秘仏であり通常は拝することができません。12年に一度、辰年にご開帳されるのですが・・・ なんと来年(2024年)がご開帳の年! 来年もまた六波羅蜜寺は注目のお寺と言えそうですね。ご本尊様には来年お会いするとして、今年はやはり、あの方に会いに行きましょう!
本堂の中にいらっしゃいました?!
ふと本堂を見渡すと、空也上人立像の姿が・・・ 実はこちら、東京藝術大学の大学院生により作られた模刻像。空也上人立像が作られたとされる鎌倉時代の作像技術・手法にこだわって、2年の歳月を経て製作されたそう。ショーケースなどの隔たり無く、近くでご覧いただけることに加え、写真撮影も可能なのが嬉しいですね♪
文化財収蔵庫「令和館」が新装オープン
昨年(2022年)5月、本堂の西側に新装オープンした令和館。最新の空調設備が導入された鉄筋コンクリート造りの宝物館で、こちらの2階に空也上人立像は収められています。かつての宝物館はやや狭い印象もありましたが、展示スペースが広がったことにより、空也上人立像鑑賞の楽しみ方も増えることとなりました。
横からも拝見できるようになりました
いよいよ空也上人立像とご対面です。口から出る不思議な物体は、近くで眺めると・・・ 仏様! ご存知の方も多いと思いますが、空也上人が唱えた「南、無、阿、弥、陀、仏」のお念仏六字が、阿弥陀様の姿に変わったという伝承を再現したものであるそう。
魂が宿っているかのようなリアルな表情、筋肉の質感など・・・ かつての宝物館では正面からしかその姿を拝めませんでしたが、令和館では側面からも覗きこむことができるようになりました。過去に拝見したことがある、という方も、この機会に改めて拝観に訪れてはいかがでしょうか。
六波羅蜜寺は仏像・肖像彫刻の宝庫!
展示スペースは1階と2階に分かれており、重要文化財14件(!)を含む17躯もの仏様・肖像彫刻を拝見することができます。「平清盛坐像」や定朝作と伝わる「地蔵菩薩立像」、空也上人により作られたという「四天王立像(※増長天立像は鎌倉時代の補作)」に加え、運慶や湛慶など慶派による作品も収められ、仏像ファンの間では人気のお寺なのです。
巡礼地としても有名です
六波羅蜜寺は「空也の寺」としてのみならず、数々の巡礼地の1つとしても有名。「西国三十三所霊場」の第17番、「洛陽三十三所霊場」の第15番など、観音霊場のみならず、「都七福神」の弁財天のお寺としても篤い信仰を集めます。
今年から金印付きの御朱印が登場!
その年の御利益を授かろうと、通例であれば1月に巡られる方が多い「都七福神」。“日本最古の七福神巡り”とされますが、実は今年(2023年)は草創600年という節目の年! 記念の年にあわせ、「都七福神草創六百年記念事業」の一環として、今年から毎月7日に限り、弁財天の御朱印に「金印」が特別に押印されています。金印の押印は、都七福神の7社寺全て(恵美須神社・松ヶ崎大黒天[妙円寺]・東寺[教王護国寺]・六波羅蜜寺・赤山禅院・革堂[行願寺]・萬福寺)で実施。記念の年に、七福神巡りにチャレンジされてはいかがでしょうか。
⇒「都七福神まいり」の公式ホームページはこちら
⇒「都七福神まいり」の公式ホームページはこちら
「空也の寺」ならではの御朱印も授与されています
御朱印と言えば忘れてはならないのがこちらの空也上人特別御朱印です。中央にドンッと「空也」の文字、そして左上には空也上人のお姿。まさに空也上人立像を拝した証としてぴったりの御朱印となりそうです。
「開運推命おみくじ」で運勢を占う
本堂内の納経所では「開運推命おみくじ」という少し変わったおみくじが授与されています。その特徴は下記の通り。
・番号が書かれた木の棒やおみくじ自体を引くのではなく、「生年月日」と「性別」によっておみくじが授与される
・その年の2月4日から翌年の2月3日までの1年間の運勢を占える
・おみくじはお寺に収めずに持ち帰り、良い一年のお導きとなるよう時折見返す
・対象者は13歳以上、88歳未満の方
中国の陰陽五行説に影響を受けた「四柱推命」をもとにした占いで、「一年の参考にしています」と、毎年受けに来られる方も多くいらっしゃるそう。来年(2024年)の2月3日までの運勢占いとなりますが、当然、7月の今現在でもいただくことは可能ですので、気になる方はぜひ本堂で体験してみてください。
\郵送対応もされています/
御利益アクティビティ(?)がたくさん
決して広くはありませんが、境内には御利益スポットが目白押し! 1つだけ願いごとが叶うという「一願石」や、身体の痛い部分や辛い部分を撫でると治るという「なで牛」。そして、金運が向上するという「銭洗い弁財天」など、一人旅はもとより、気の合う人と訪れると、御利益を授かるだけでなく、楽しい思い出にもなりそうですね♪
「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン連動の企画も開催中
この夏は「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンにちなみ、特別企画が実施中。人気イラストレーターによるオリジナル写仏体験や、映画にドラマに大活躍の俳優、飯豊まりえさんによる「空也上人立像」の解説が楽しめる「仏像音声ガイド」企画も。詳細は特設サイトからチェックを!
【拝観時間】境内8:00~17:00、令和館8:30~16:30
【拝観料】境内無料、令和館(宝物館)600円
【電話】075-561-6980
【アクセス】市バス「清水道」バス停から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】https://rokuhara.or.jp/
【公式Twitter】https://twitter.com/ku_yanotera
【公式Instagram】https://www.instagram.com/rokuharamitsuji.temple/
※掲載内容は2023年7月7日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。