酷暑で知られる京都の夏。この暑さを少しでも和らげようと、古くから京都に暮らす人々は、さまざまな工夫を取り入れてきました。川に床を設えた夏の風物詩「川床」も、その工夫から誕生したもの。そんな知恵の結晶ともいえる京道具や、現代のライフスタイルに合わせた新たな涼アイテムをご紹介します。京都ならではの五感で感じる涼を、暮らしに取り入れてみてはいかがでしょう。
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涼を感じる京道具
三方を山に囲まれた盆地の京都は、古くから、うだるような暑さに悩まされてきました。京町家の暮らしにおいて、夏の室礼(しつらい)への衣替えは大切な行事。障子は風通しの良い簀戸(すど)や簾(すだれ)に、畳にはひんやりとした網代(あじろ)を敷くなど、見た目や触感からも涼を取り入れてきました。そんな涼の感じ方への工夫は、京道具にも生きています。先人の知恵がつまった涼アイテムをご紹介します。
涼を感じる京道具のお店
京都にある京道具のお店を紹介。足を運んで、手にとって、お気に入りの1点を探しに行ってみてはいかがでしょうか。

京うちわ 阿以波
元禄2年(1689)創業。現在も自社工房で、ひとつひとつ手作業で京うちわ作りに取り組まれています。繊細な切り絵細工の「透かしうちわ」は、夏のインテリアや贈り物としても人気。飾り用の「両透」、実用性を兼ね備えた「片透」があります。朝顔や蛍などのモチーフからも、夏を感じてみましょう。

白竹堂
創業300年を超える、京扇子の老舗。屋号は、京都画壇の巨匠・富岡鉄斎より賜ったものと伝わります。店内には、伝統的な京扇子から現代の暮らしに寄り添うものまで、さまざまな扇子が勢揃い。最近では飛沫予防に役立つ、小ぶりな「お口元扇子」が注目を集めているそうです。

松栄堂
創業300余年、12代目に至る今日まで一貫して香づくりに励んでいます。人気の「Xiang Do(シァン ドゥ)」シリーズから、夏におすすめの香りはマリン・ロータス・フォレストの3種。ライトブルーの香皿に貝をモチーフにした香立を使えば、より夏気分に。香りはぜひお店で、お試しを。

薫玉堂
西本願寺前に位置する、文禄3年(1594)創業の香老舗。京都の情景をイメージしたお香のシリーズがあり、夏のおすすめは「音羽の滝」。清水さんの滝つぼに流れ落ちる、音羽山の湧き水をイメージした涼やかな香りで、線香と匂袋をご用意。お好みのタイプをお選びください。

南條工房
創業約190年、鳴物神仏具を専門に製造する老舗工房。佐波理おりんの音を気軽に楽しめるブランド「LinNe」から、2020年に誕生したのが「Ren」。風鈴の形になっていて、風を受けると、佐波理おりん特有の澄んだ音色が響き渡ります。紐は宇治の老舗・昇苑くみひも製。

TOKINOHA
毎日の食卓、器を変えるだけで、グンと涼しげになります。清水焼ブランド「TOKINOHA」では、さまざまな“涼を感じる器”がラインアップ。マットな質感の「copper」シリーズは、光に当たると煌めく青色の釉薬が使われ、味わい深い“青”に夏らしさを感じます。

清課堂
天保9年(1838)創業、現存する錫(すず)工房で日本最古といわれる清課堂。暑い日にはビールや冷酒が飲みたくなりますが、酒器には“錫”がぴったり。錫の特性上、冷たいまま味わうことができ、錫の香りがお酒の旨味を引き立ててくれるそう。上品な見た目もポイントです。

永楽屋細辻伊兵衛商店
伝統的な布製品、手ぬぐい。吸水性・速乾性に優れ、夏は手ふきに汗止め、日除けアイテムとして大活躍。嵩張らず、持ち歩きにも便利です。永楽屋細辻伊兵衛商店ならデザインが豊富で、きっとお気に入りの一枚がみつかるはず。室内に飾り、夏のインテリアとしてもおすすめです。

PONTE
京都・八瀬に工房を構える、ガラス作家・佐藤聡さんのショップ。グラスやお皿、花器は、どれも“宙吹き”という技で作られる一点モノです。夏のおすすめは、レースのような透かし模様の「レースガラス」シリーズ。見つめるだけで、涼をもたらしてくれそうです。
進化する涼アイテム
歴史あるものと新しいものがあふれる京都。古くからの伝統を大切に、現在のライフスタイルにマッチした京道具も登場しています。どれも目を引くすてきなアイテムです。
スタッフおすすめ京の涼食!
涼を感じる京道具を求めて京都を訪れたら、涼食でひとやすみ。夏の大定番「冷麺」「かき氷」から、名前からして気になる関西独特の「ひやしあめ」まで、スタッフのお気に入りをピックアップしてみました。ぜひ、味わってみて。

鱧(はも)/料理旅館 奥貴船 兵衛
京都の夏を代表する味のひとつ「鱧」。せっかくなら涼を感じる“貴船の川床”でいただきませんか。貴船は京都市街地より気温が5~10度ほど低いとされる避暑地。兵衛では、鱧しゃぶや鱧落としなど鱧づくしの会席を川床で贅沢に味わえます。

冷麺/中華のサカイ本店
夏グルメの大定番「冷やし中華」。関西では「冷麺」と呼ばれることが多く、京都の冷麺といえば中華のサカイが有名です。焼豚とハムの2種類があり、味の決め手となる特製だれは、酸味と甘味のバランスが絶妙。お取り寄せも人気です。

奴豆腐/とようけ茶屋
名水が湧く京都では、なめらかな「豆腐」も名物のひとつです。とようけ茶屋は、明治30年(1897)創業の京豆腐の名店・とようけ屋山本が手がけるお店。ひんやり冷たい奴豆腐は、暑い日の最高のごちそう。奴膳やお好み奴豆腐ではお豆腐の種類を選ぶことが可能。

ひやしあめ/京あめ とにまる
「ひやしあめ」は飴ではなく、関西で知られる夏の定番ドリンク。水飴をお湯で溶かし生姜を加えて冷やしたもので、昔懐かしい甘さと爽やかな生姜の風味が暑さを和らげてくれます。とにまるでは、多彩なひやしあめドリンクがラインアップ。
※京都駅CUBE店にて販売

紫蘇ソフトクリーム/土井志ば漬本舗
大原名産の「赤紫蘇」は栄養価が高いとされ、夏バテ予防にぴったり。明治34年(1901)創業の土井志ば漬本舗では、珍しい赤紫蘇のソフトクリームがいただけます。鮮やかな色とヨーグルト風味のさっぱりとした味わいに気分も爽快♪
※本店・三千院前店・清水店にて販売

かき氷/さるや
下鴨神社の糺の森内にある休憩処・さるやの大人気メニュー、鴨の氷室の氷。かつて神社の大炊殿に氷室があったことにちなみ名付けられたかき氷です。森林浴を楽しみながらいただく冷たいかき氷は、夏の思い出のヒトコマに。