京都 草花を楽しむ散歩道〜早春編〜

京都 草花を楽しむ散歩道〜早春編〜京都 草花を楽しむ散歩道〜早春編〜

“底冷え”といわれるほど寒さ厳しい京都の冬。1月から3月にかけて季節は少しずつ移ろい、早春の草花が京都を彩ります。歴史あるお寺の伽藍や神社の社殿に寄り添う、京都ならではの花景色は美しく、寒さに向かい咲く様子は、見るものに力を与えてくれるかのようです。この時季に注目したいのが、梅をはじめ、椿や馬酔木など。そんな草花が楽しめる、おすすめのお散歩コースをご紹介します。町を歩けば春はすぐそこ。定番はもちろん知る人ぞ知るスポットまで、可愛らしい草花を愛でるお散歩に出かけませんか。


早春に楽しめる京都の草花

早春の代表的な花は、梅。京都にもたくさんの名所があり、あわせて楽しみたい椿や馬酔木など、早春を彩る草花をピックアップ。どれも派手さはないけれど、可愛らしい花姿をしています。

梅[ウメ]

その昔、お花見といえば桜ではなく梅でした。「万葉集」には数多くの梅の歌が詠まれ、学問の神さま・菅原道真がこよなく愛した花としても有名です。現在では多彩な品種があり、早咲きから遅咲きまで、京都各地で観梅を楽しめます。
例年の見頃:2月~3月

椿[ツバキ]

冬から春にかけて長く楽しめる椿。京都では、一重や八重、色や模様も異なる、さまざまな品種を見ることができます。見頃を過ぎ、庭に落ちる“落ち椿”も儚げで美しい。古くは千利休が茶花として取り入れ、茶の湯でも大切にされてきた花です。
例年の見頃:12月~4月

馬酔木[アセビ]

常緑樹の馬酔木ですが、スズランのような可愛らしい花を咲かせます。白や桃色の色合いもやさしく、春の訪れを告げる花として「万葉集」にも記されています。馬が食べるとふらついたという逸話から「馬酔木」と書くそう。
例年の見頃:3月~4月

蝋梅[ロウバイ]

厳しい寒さのなかで咲く蝋梅は、梅よりひとあし早い春への道しるべ。黄色い花に甘い香りをただよわせ、雪解けのように、見るものの心を溶かしてくれることでしょう。蝋梅と梅、似ているようですが実は同じ種類ではありません。
例年の見頃:1月~2月

南天[ナンテン]

草花の少ない冬、彩りを添えるように鮮やかな赤い実を付けるのが南天です。“難を転ずる”ことから縁起の良い木として、京都では、お寺・神社の境内、鬼門によく植えられています。南天に雪が降り積もる光景も風情があります。
例年の見頃:12月~1月

早春の草花を楽しむオススメお散歩コース

京都散歩といえば桜や紅葉をイメージしますが、早春の草花を愛でながらゆっくり楽しむのも気持ちが良いものです。この季節に人気の梅名所から、知る人ぞ知る自然豊かなスポットまで、花めぐりにおすすめのお散歩コースをご紹介します。各コースギャラリーでは、お散歩中にみつけた風景をお届け。あわせてご覧ください。


北野天満宮〜花園コース

早春の京都散歩で必ず訪れておきたい、京都屈指の梅名所・北野天満宮を起点にしたコースです。菅原道真を祀ることから境内は梅づくし。観梅を楽しんだら、おみやげには梅をモチーフにした授与品はいかがでしょう。続いて、桜の宮・平野神社、馬酔木や椿が咲く禅寺・等持院、妙心寺 退蔵院のお庭をめぐります。広大な妙心寺の境内は“暮らしの道路”になっていて、歩くだけでタイムスリップしたかのような気分です。

【4月1日写真更新】

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このエリアで見られる草花

このエリアのおすすめスポット

北野天満宮

京都随一の梅名所で、梅苑は「雪月花の三庭苑」のひとつ「花の庭」として、2022年に再興されました。苑内一円に梅が咲き誇り、馥郁たる香りに包まれながら小径を散策。舞台から梅の絶景を見渡すこともできます。季節ごとに、華やかに生けられる花手水もお見逃しなく。
【例年の見頃】梅:2月中旬~3月中旬

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平野神社

桜名所として有名な神社ですが、見頃は春だけではありません。冬には十月桜が西鳥居のそばで開花し、寒さに立ち向かうような桜を見ると、力が湧いてきそうです。末社・猿田彦社の周囲を中心に、境内随所ではスイセンも楽しめます。腰を落としてゆっくり眺めてみましょう。
【例年の見頃】十月桜:10月~4月、スイセン:1月~3月

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等持院

足利将軍家ゆかりのお寺。春を前に、芙蓉池を中心とした「西庭」では有楽椿や馬酔木が見頃を迎えます。有楽椿は樹齢400余年、樹高10数メートルの名木で、薄ピンクの上品な花姿。苔庭に、ぽたりと落ちる“落ち椿”も見どころです。お庭をめぐったら、抹茶(菓子付500円)をいただきながら庭園鑑賞を。
【例年の見頃】椿:2月上旬~3月中旬、馬酔木:3月

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妙心寺 退蔵院

禅寺・妙心寺のなかでも、四季折々の花が咲く塔頭寺院。昭和の名庭「余香苑」は滝が流れる音も心地よい庭で、池のほとりでは梅が楽しめます。さらに椿や馬酔木なども見頃を迎えると、境内は彩り豊か。おみやげにぴったりな授与品も豊富です。
【例年の見頃】梅:2月下旬~3月中旬、椿:2月下旬~4月上旬、馬酔木:2月下旬~3月中旬

スポット情報

笹屋昌園 CAFE&ATELIER

「本わらび餅 極み」で有名な老舗和菓子店。国産わらび粉の中でも、わずかしか抽出できない高品質な本わらび粉にこだわり、カフェでは、職人さん手作りのできたてのわらび餅が人気です。3分限定の“とろ~り食感”を、ぜひ味わってみて。

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フルーツパーラー クリケット

お散歩のひとやすみには、甘いものでパワーチャージを。青果店が営むフルーツパーラー クリケットでは、いろんな果物が入ったフルーツサンドやパフェが揃っています。春限定の「ストロベリーパフェ」で、旬のイチゴをたっぷり楽しむのもおすすめです。

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岡崎〜哲学の道コース

岡崎エリアの代表スポット・平安神宮から、真如堂や哲学の道など地元でも人気のお散歩コースをめぐります。平安神宮の神苑で梅や馬酔木を満喫した後は、京の歴史が感じられる金戒光明寺・真如堂、そして哲学の道へ。かつて文人墨客が思索した小径は「日本の道100選」にも選ばれています。最後に向かうのは可愛らしい狛ネズミが鎮座する大豊神社。静かな境内に咲く早春の花々に、ゆっくりと思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

【4月1日写真更新】

コースマップ

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このエリアで見られる草花

このエリアのおすすめスポット

平安神宮

紅しだれ桜の名所として知られますが、ひとあし早く神苑に春を告げるのは梅の花。広い苑内の随所に立派な木が植わり、東神苑から眺める梅越しの泰平閣や尚美館は絵になる風景です。桜が咲く頃、苑路に咲く馬酔木のほのかな甘い香りにも和の趣が感じられます。
【例年の見頃】梅:2月上旬~3月上旬、馬酔木:3月下旬~4月上旬

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くろ谷 金戒光明寺

新選組・会津藩ゆかりの地。極楽橋周りの白梅や大方丈前の紅梅など、実は見応えのある梅スポットです。境内奥にたたずむ塔頭・西雲院の白梅もお見逃しなく。“アフロ仏”が有名ですが、最近は可愛らしいアヒルと花々が競演する“アヒル花手水”も人気上昇中。
【例年の見頃】梅:3月上旬~下旬

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真如堂

地元の方の散歩コースとしても親しまれるお寺。手入れの行き届いた境内は、早春の花の宝庫です。可憐な梅や椿にはじまり、馬酔木、山茱萸が順に見頃を迎えます。例年3月には江戸中期に描かれた「大涅槃図」の特別公開が行われるので、あわせてお参りを。
【例年の見頃】梅:2月下旬~3月中旬、椿:1月下旬~4月上旬、馬酔木:2月上旬~4月下旬、山茱萸:3月中旬~下旬

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哲学の道

銀閣寺前から若王子橋に至るまでの約1.5キロに及ぶ疏水沿いの小径。日本を代表する哲学者・西田幾多郎が思索に耽りながら歩いた道と伝わります。道中にはベンチもあるので、散策途中のひとやすみにもぴったり。若王子橋辺りは猫スポットとしても有名で、タイミングが良ければたくさんの猫に出会えます。

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大豊神社

東山三十六峰のひとつ・椿ヶ峯を御神体とし、境内では2月下旬から約100本の椿が見頃を迎えます。シーズン中は“落ち椿”を頭に乗せた狛ネズミに会えることも。また3月上旬にはしだれ紅梅も咲き、桜を前に境内が華やぎます。お参りの後はネズミをモチーフにした授与品にも注目してみて。
【例年の見頃】椿:2月下旬~3月中旬、梅:3月上旬~下旬

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グリル小宝

昭和36年(1961)創業、行列必至の人気店です。ヤキメシやオムライス、ハイシライスなど、昔ながらの洋食メニューが揃い、それぞれボリューム満点なのも嬉しいポイント。テイクアウトもできるので、天気の良い日は近くの岡崎公園で青空ランチもおすすめです。

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東天王 岡﨑神社

子授け・安産・縁結びの御利益があることで知られる神社。かつて付近一帯が野ウサギの生息地であったことから、ウサギが氏神様の遣いとされています。本殿前に鎮座する狛ウサギのほか、手水舎、提灯などにもその姿を見つけられ、可愛らしいウサギの授与品も豊富です。

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戀西楼 快庵

くろ谷 金戒光明寺の境内にある、おみやげ・お茶処。香ばしいお焦げが美味しい「みたらし団子」や「ぜんざい」など、散策疲れの体に優しい甘味がいただけます。店前の長椅子に腰掛けると、正面には立派な御影堂(重文)。お寺ならではのひとやすみが過ごせます。

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当尾の里 岩船寺~浄瑠璃寺コース

岩船寺と浄瑠璃寺をはじめ、石仏群など、自然豊かな道を楽しむお散歩コースです。京都府と奈良県の境に位置する当尾(とうの)の里は、古くから、世俗の喧騒を離れた僧侶の修行場となり、山間の道には今も石仏が点在することから「美しい日本の歴史的風土100選」にも選ばれています。早春の花々が咲く岩船寺から馬酔木の名所・浄瑠璃寺へ、貴重な石仏に手を合わせながら目指しましょう。

【3月28日写真更新】

コースマップ

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このエリアで見られる草花

このエリアのおすすめスポット

浄瑠璃寺

普段はひっそりとしたお寺に、春を告げる馬酔木の愛らしい花。山門へと続く参道脇に咲き誇り、見頃があえば、山桜と一緒に楽しめます。極楽浄土をイメージした池泉浄土式庭園があり、池のほとりにも馬酔木が。お寺に暮らす猫たちも、お庭で春の訪れを喜んでいるようです。
【例年の見頃】馬酔木:2月下旬~3月下旬

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岩船寺

紫陽花の名所として有名ですが、四季折々の花が楽しめる、通称「花の寺」。まだ肌寒い2月には蝋梅が咲き、甘い香りが参拝者をお出迎え。3月を迎えると椿や山茱萸(さんしゅゆ)などが次々に見頃となります。本尊・阿弥陀如来坐像は像高約3メートル、千年以上の歴史を誇る貴重な仏像です。
【例年の見頃】蝋梅:2月、椿・山茱萸:3月

スポット情報

あ志び乃店

茅葺き屋根が目印のお食事処。自家製の味噌や漬物、地元のお米などを取り入れた田舎料理を用意されています。おすすめは、山菜がたっぷりの「山菜とろろそば」。四季の草花が植えられた庭があり、2月下旬から馬酔木や椿などが見頃に。お食事後に散策してみましょう。

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わらい仏(岩船阿弥陀三尊磨崖仏)

やさしく微笑むお顔が印象的な阿弥陀三尊。上部に大きな屋根石が載ることから保存状態が良く、当尾を代表する石仏のひとつになっています。京都府指定有形文化財、鎌倉時代作。そばには、ちいさな「ねむり仏」も。

カラスの壷二尊(阿弥陀地蔵磨崖仏)

「カラスの壷」と呼ばれる分岐点にたたずむ石仏。ひとつの巨岩に阿弥陀如来坐像と地蔵菩薩立像が彫られています。地蔵菩薩は向かって左側面にあり、見逃しやすいので気を付けて。

一願不動(不動明王立像)

岩船寺「奥の院」の修行場の大岩に遺る、不動明王立像。ひとつだけ願い事を叶えてくださるという一願不動さんで、よく見ると、ギョロッと目を見開き、怒った表情をされています。京都府指定有形文化財。


定番名所もおすすめ!

城南宮

“しだれ梅の絶景”で知られる、神苑の春の山エリア。薄紅色や紅白に彩られた梅がシャワーの如く降り注ぐ光景が見事で、まるで別世界に訪れたかのようです。満開はさることながら、散り際の“花びらの絨毯”も美しい。椿の名所でもあり、しだれ梅と“落ち椿”も人気の撮影ポイントです。
【例年の見頃】梅:2月中旬~3月中旬

スポット情報

京都府立植物園

日本最古の公立総合植物園。梅林には約100本が植わり、60品種もの梅が楽しめるのは植物園ならでは。「楊貴妃」「玉牡丹」など珍しい品種にもご注目を。種類豊富な椿とあわせて早春を感じましょう。お花にまつわるイベントもあり、現在は「早春の草花展」も開催中(3月13日まで)。3月25日から27日には「つばき展」が行われます。
【例年の見頃】梅:2月中旬~3月下旬

スポット情報

八幡市立 松花堂庭園・美術館

石清水八幡宮の社僧・松花堂昭乗ゆかりの地。広大な「松花堂庭園」があり、そのひとつを構成するのが“椿園”です。招乗も愛したと伝わる、300本を超える椿があります。さながら椿図鑑のような園内ですが、まだ知る人ぞ知るスポットなので、ゆっくり楽しめるはず。
【例年の見頃】椿:2月上旬~3月下旬

スポット情報

早春の花の動画をお楽しみください



※写真はイメージです。
※掲載内容は2022年3月4日時点の情報です。お花の開花状況など最新情報は各掲載先へご確認ください。