“心を穏やかに、自分自身と向き合う時間を持ちたい”と、今また「禅(Zen)」に注目が集まっています。最近では、オンラインでの坐禅体験や法話の会、郵送での写経を行う寺院も増え、気軽にライフスタイルに取り入れられることも魅力のひとつとなっているようです。
京都は国内でも特に禅寺が集まり、「禅寺を訪ねたい」と旅する方も多い場所。でも、どこを訪ねるべきか迷う時もあるのではないでしょうか。「禅」と一口に言ってもその中身は多種多様。どんなお寺があるのか、基本的な特徴をご紹介します。
※特に記載のない場合、拝観時間などの詳細情報は各寺院の名称をクリックしてご確認ください。
京都は国内でも特に禅寺が集まり、「禅寺を訪ねたい」と旅する方も多い場所。でも、どこを訪ねるべきか迷う時もあるのではないでしょうか。「禅」と一口に言ってもその中身は多種多様。どんなお寺があるのか、基本的な特徴をご紹介します。
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※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。
「禅」とは?
「禅」は、サンスクリット語のディヤーナ(dhyana)に由来し、「静かに考えること」を意味する言葉。元々はヨーガの瞑想法のひとつで、仏教に取り入れられ中国に渡ると、ディヤーナの音写「禅那(ぜんな)」と表記され、やがて「禅」の一字が好まれ、使われるようになったそうです。
「禅」を確立したのが、菩提達磨(ぼだいだるま)。インドに生まれ(ペルシア生まれとも)釈迦の教えを受け継いだ後、6世紀初頭に中国へ渡ったとされ、壁に向かって9年間も坐禅を続け(手足が腐るほどになっても続けたのだそう!)、悟りの境地へ至る独自の「禅宗」を成立させました。
日本では、鎌倉時代に南宋(中国)に渡った僧・栄西(えいさい・ようさい)が臨済宗(りんざいしゅう)、道元が曹洞宗(そうとうしゅう)、江戸時代になり隠元が黄檗宗(おうばくしゅう)を伝え、今もこの三宗が「日本三禅宗」と呼ばれています。
【臨済宗】武家社会に支持され発展。茶道・能など日本文化の礎に。
臨済宗は、京都の中でも一番よく見かける禅寺で、金閣寺や銀閣寺、龍安寺など、観光スポットとしても人気のお寺も臨済宗に属されています。鎌倉時代に栄西によって伝えられ、時の政権・室町幕府によって庇護され、茶や能など、今に続く日本文化の発展に寄与。続く戦国~江戸時代にも武家からの篤い崇敬を受け、大寺院が多くあります。
臨済宗の特徴は?
「そもさん(作麼生、さあどうだの意味)」「せっぱ(説破)」で知られる禅問答は、臨済宗の特徴的な行のひとつ。師弟が、経文に頼らず、自身から出る言葉で禅の境地へと至る修行のひとつで、「看話禅(かんなぜん)」「公案禅」とも呼ばれます。
京都にある臨済宗の主な大本山はこちら
\臨済宗のお寺の中からピックアップ/
【Topic1】坐禅の体験ができるお寺は?
東福寺の塔頭寺院・勝林寺では予約にて坐禅を体験できます。
⇒勝林寺で“坐禅とヨガ体験”してきました!(2017年掲載)
そのほかにも、相国寺や南禅寺(毎月第2・第4日曜日)、妙心寺(現在は休止中)などでも実施されています。
⇒勝林寺で“坐禅とヨガ体験”してきました!(2017年掲載)
そのほかにも、相国寺や南禅寺(毎月第2・第4日曜日)、妙心寺(現在は休止中)などでも実施されています。
【Topic2】かっこいい! 天井龍を見られるお寺は?
京都のお寺では、本堂や法堂に大きな龍の図が描かれていることがあります。龍は、仏法を守護し、水の神として火災から堂宇を守る存在。臨済宗の七大本山にもすべて天井龍が描かれています。
【Topic3】2022年「京の冬の旅」で特別公開でされるお寺は?
通常非公開の文化財を期間限定で特別公開する「京の冬の旅」。第56回となる今回は、「建築の美」と「茶人ゆかりの禅寺」をテーマに14ヵ所で実施されます。上記スポットのほか臨済宗寺院では、大徳寺 大光院、西陣 興聖寺が公開されます。
【Topic4】お抹茶がいただけるお寺は?
【曹洞宗】京都に生まれ京都で生涯を閉じた、宗祖・道元禅師
全国でもトップクラスに寺院数の多い曹洞宗は、鎌倉時代に道元が開いた教え。道元は京都に生まれ、比叡山 延暦寺や建仁寺で修行した後に宋へ渡り、坐禅修行に励まれます。帰国後、多くの人に坐禅を進め、建長5年(1253)に京都で生涯を閉じました。
福井県・永平寺と神奈川県・総持寺が二大本山であり、意外にも京都市内には少なく、詩仙堂や源光庵(2022年まで拝観休止中)などが有名です。宇治市にある興聖寺は、道元が伏見・深草の地に初めて開いた坐禅道場を起源とし、“日本曹洞宗最初の寺院”とされています。
曹洞宗の特徴は?
坐禅を悟りへの手段と捉える臨済禅とは異なり、坐禅をすることそのものが悟りであると捉えるのが、曹洞宗の特徴。「只管打坐(しかんたざ、余念を交えずただひたすら坐る)」と呼ばれ、臨済禅の「看話禅」に対して、「黙照禅(もくしょうぜん)」とも呼ばれます。
■誕生寺
【拝観時間】境内自由
【拝観料】無料
【アクセス】市バス「久我」バス停から徒歩約2分 Google map
■誕生寺
【拝観時間】境内自由
【拝観料】無料
【アクセス】市バス「久我」バス停から徒歩約2分 Google map
【黄檗宗】隠元さんがもたらした、新しい禅宗
江戸時代、沈滞していた日本禅宗界に新たな風を吹き込んだのが明の高僧・隠元禅師です。日本からの度重なる招請を受け、63歳の時、弟子20人他を伴い来朝。時の徳川第4代将軍・家綱や、後水尾法皇などから崇敬を集め、寛文元年(1661)、京都・宇治に寺領を賜り、黄檗山萬福寺を開創されました。
隠元禅師のもたらしたものは、“新しい禅宗”=黄檗宗だけでなく、当時の中国・明の建築技術や書画・医術に始まり、インゲン豆に西瓜・蓮根・孟宗竹、木魚や明朝体、煎茶、普茶料理と多岐にわたり、当時の日本社会に大きな影響を与えました。
宇治市にある黄檗山萬福寺をはじめ、京都に点在する黄檗宗寺院は他にも、伊藤若冲の菩提寺として知られる石峰寺(Google map)や、普茶料理をいただける閑臥庵(Google map)などが有名です。
宇治市にある黄檗山萬福寺をはじめ、京都に点在する黄檗宗寺院は他にも、伊藤若冲の菩提寺として知られる石峰寺(Google map)や、普茶料理をいただける閑臥庵(Google map)などが有名です。
黄檗宗の特徴は?
黄檗宗の特徴は、なんといっても「中国的」であること。渡来した江戸初期から中頃まで、萬福寺の住職は中国僧が務め、今もお経は中国語読み。銅鑼や鐘を用いた独特のお経は「梵唄(ぼんばい)」と呼ばれ、節回しにも異国情緒が漂います。
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たくさんの禅宗寺院が集まる京都は、禅の特色を肌身に感じられやすい場所。ぜひいろいろなお寺をお参りされて、禅の教えに触れてみてくださいね♪
たくさんの禅宗寺院が集まる京都は、禅の特色を肌身に感じられやすい場所。ぜひいろいろなお寺をお参りされて、禅の教えに触れてみてくださいね♪
※掲載内容は2021年12月13日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。